宝蔵院胤栄『摩利支天石』

 無敵の「奈良・斑鳩1dayチケット」を握りしめ、体力の続く限り奈良を体験するまち歩き。

 宝蔵院流槍術の開祖・宝蔵院覚禅房胤栄が猿沢の池に映る三日月を突いて宝蔵院流鎌槍の操法に開眼したことは有名ですが、その宝蔵院胤栄が宝蔵院庭の大石に摩利支天を祀り武道の上達と槍術成就を祈念した「摩利支天石」が宝蔵院の本院である興福寺に置かれています。

 明治期の廃仏毀釈で荒廃した興福寺の子院・宝蔵院もご多聞に漏れず、現在の国立奈良博物館に位置したといわれる建物すら残っていません。

 その荒廃した興福寺・宝蔵院跡地に残されていた「摩利支天石」を篤志家が私費でご自宅の庭に移したのが1887(明治20)年、動かせば祟るとまで謂われた「摩利支天石」、周辺は市が立つほどの賑いだったそうです。

 その大切にお祀りされていた「摩利支天石」の寄贈を受け、1999(平成11)年 宝蔵院に縁の深い興福寺・南円堂南西三重塔前に移し現在に至ってます。

 f:id:jotoyumekoi:20190708012714j:plain