第133回 特集展示『大阪の灯火具』

 大阪歴史博物館 第133回目の特集展示「大阪の灯火具」は、大阪市文化財協会・大阪市教育委員会による大阪市内の発掘調査で見つかった、奈良時代から江戸時代にかけての灯明皿や発火道具などの考古資料を大阪歴博所蔵の各種資料共々分かり易く展示されています。

  展示は古代・長原遺跡の土師器と須恵器の灯明皿から始まっていて、正倉院文書などから荏胡麻油が主に使われてたと思われ、荏胡麻油は江戸時代に菜種油や綿実油に取って代わられるまで灯油として使われて居た様ですが、現代でもそうですが荏胡麻油は大変高価な油で特別な時以外には支配階級でもそうそう常用出来る物では無かった事は想像でき、一般的に夜間照明が利用されだすのは、菜の花の栽培面積が飛躍的に増加し搾油法が改良され菜種油の大量生産が可能に成りだした江戸時代中期以降の事で、芭蕉に菜の花を詠んだ句は無く、蕪村には菜の花を詠み込んだ代表作が何句も有る様に西日本には菜の花畑が広がってたさまが目に浮かびます、しかも菜種油は光度が有る程度得られ江戸時代中期以降の出版文化興隆の要因でも有ったと私なんかは思ってます。

 しかし荏胡麻油に比べ安価では有ったとはいえ、明治以降普及する石油系の灯油などに比べれば高価で江戸時代の一般庶民の照明油はより安価なイワシなどから採れる魚油を常用してたらしく江戸時代の庶民は魚臭かったと幕末に来日した欧米人の記録に残ってます。

 灯り取りに魚油を使って居たのは、石油系の灯油が普及するまでマッコウクジラの脳油を常用してた欧米とよく似ていて興味深い事柄でも有りますね。

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和蝋燭の材料。f:id:jotoyumekoi:20210101014456j:plain

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江戸時代の搾油法図。f:id:jotoyumekoi:20210101014447j:plain

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