淀屋屋敷跡碑の西隣に「林市蔵先生肖像」。
元内務官僚で大阪府知事時代に法学者・小河滋次郎と共に民生委員制度の前身と成る方面委員制度を創設し府に救済課を設置した第15代 大阪府知事です。
方面委員制度制定は米騒動の騒乱が切っ掛けとも言え、福祉面だけが強調されてますが、林市蔵は内務省の元警察官僚で、初期の方面委員には警察官および元警察官も多く公安的側面も有った様ですね。
淀屋橋の南詰から土佐堀通を西に少し行った土佐堀川沿い緑地に「淀屋の屋敷跡」碑。
京都・山城国の豪族の息子として生まれた岡本三郎右衛門常安は伏見城の造営や淀川の堤防改修などの土木工事を請け負い、その後大坂の十三人町(現在の北浜、石碑の所在地)にて「淀屋」を名乗り材木商を創業、中之島の開発や堂島米市(米相場市場)を主体事業として様々な事業を手掛け「天下の台所」と称された大坂経済の基礎を形作った豪商で、幕府から「豪奢僭上の沙汰(町人の分限を超え贅沢な生活が目に余る)」で闕所を命じられた五代目・淀屋廣當の代には総資産が現在の貨幣価値に換算すると200兆円以上と今に伝わる桁違いの豪商ですが、本当の理由は100兆円以上の残高が存在した大名貸しに有ったと言われます。
似たような話に、最近海の向こうのアリババグループ・馬雲さんが逢った様ですが、明治維新に大変貢献した淀屋の分家「倉吉・淀屋」の影響か、明治期のプロパガンダで幕府の強権性を象徴する大変な悪政の様に言われていて取り潰された淀屋には同情的な雰囲気が存在しますが私はそれ程の悪政とは考えず、そもそも江戸時代には国税と言う概念が存在せず取引される生産物や生産者には課税が存在しましが、商行為に対しては全く無税でその恩恵を受け米相場で巨万の富を築いた淀屋が現在の税制の中では存在しえたかと考ええると、何となく当然の帰結の様な思いも沸いてきます。
淀屋米市のレリーフの様で、米俵が運び出されて船に積まれています。
背景に大阪市役所。
中之島バラ園に立ち寄った後「大阪市立東洋陶磁美術館」。
丁度「特別展・黒田泰蔵」と「特集展・柿右衛門―Yumeuzurasセレクション」が開催中の臨時休館で、二つの展示会は 7月25日(日)までの期間なのであと一回位緊急事態宣言が延長に成っても残り開期は有りそうですが、5月中に行こうと思ってた私としては結構気に成ってます。
臨時休館中。
中は真っ暗?なのかな。
それにしても人通りの多い中之島公園です。
大阪歴史博物館の第134回目の特集展示「大阪市の新指定文化財 -平成28年度から令和2年度まで-」。
今回の特集展示では、「三木茂博士のメタセコイア化石標本」「大坂城跡本丸内出土の三葉葵文鬼瓦」「四天王寺英霊堂」「幕末大坂城湿板写真原板」「上方漫才・横山ホットブラザーズ」「大阪市電橋梁図」などが展示されていますが、何と今回は撮影禁止で、展示品の中で権利関係が存在するとすると〇山ブラザース位かな。
大阪歴史博物館の特別企画展「動物絵画はお家芸 -大坂・森派の絵描きたち-」です。
昨年2月に開催された特別展「猿描き狙仙三兄弟 -鶏の若冲、カエルの奉時も-」が新型コロナ禍のため3日間しか開館出来なかったのでその代参として再構成した特別企画展で、出品点数は減らされてる様ですが今回は常設展示観覧券だけで鑑賞出来るので大変リーズナブルな企画展に成ってます。
展示作品の中では、展示作品数も多くやはり森三兄弟の末弟・森狙仙の猿図が目に付き、緻密な描写力や観察眼には「猿描き狙仙」の名に相応しい画力を感じさせ、現在では森狙仙の名声に隠れた兄・陽信と周峰の多様性に富んだ作風にも興味は尽きません。
今回の展示会では、森狙仙の作風に影響を与えたという丸山応挙の「遊鯉図」「双鶴図」「波濤図」3点が森派前史にジャンル分けされ展示されていて全体に重厚さが増しています。
撮影禁止なので写真は此処まで。入口に置かれてるのは顔出し看板。
新館長のご挨拶。
大阪城大手門から大阪府庁本館方面に向った上町筋沿いの「世界連邦平和像」後方植え込みの白い「オオムラサキツツジ」が満開です。
後ろ足を跳ね上げた馬に乗ってる少女像の大きな彫刻で、作者は長崎平和公園「平和祈念像」の作者で文化勲章受章者・北村西望、製作年は1973年、ほぼ同じ構図の彫刻「世界連邦平和像」が北村西望が晩年アトリエを構えた東京都武蔵野市近く三鷹市のJR三鷹駅北口ロータリー中央に置かれていてこちらの製作年は1969年。
戦前は「報国芸術会」の結成に大きく関わり戦意高揚を意図した作品を多く手掛けた北村西望ですが、戦後は一転しては平和や自由、宗教にも傾倒し仏教の高僧像や仏像、キリスト像、孔子像などを残しています。
上町台地アートプロジェクト実行委員会主催のシンポジウム「古代史観光の未来展望」にZoom参加。
サブテ-マが「古代のスーパースターをたどるマイクロツーリズム」と有って、聖徳太子に関連した歴史資産を観光資源としてどう生かすかが趣旨のシンポジウムなんで、大阪観光局や大阪府・大阪市はじめ関係諸団体の担当者が勢揃いお役人のアリバイ作りとも言えるシンポジウムなんですが、第2部フォーラムの河上麻由子・奈良女子大学人文社会学科 准教授の講演が面白くて、古代歴史文化にゆかりの深い島根県 奈良県 三重県 和歌山県 宮崎県の5県で主催する「第7回古代歴史文化賞優秀作品賞」を2019年に受賞した著書・「古代日中関係史 −倭の五王から遣唐使以降まで−」をさっそく図書館に予約。
この河上麻由子先生、語り口も独特で今後の講演なんかも要チェックです。